対策会議での重役と言われる人達の「その技術による費用対効果は?」「関連会社での事例はあるのか?」という質問は、最先端という言葉とは相容れないように感じた。
日本のシステム開発の現場すべてがそうではないとおもうが、それが彼が勤めていた会社と発注元である会社のスタンスであった。
入社して二年になる頃にはその退屈さに気づいていたが、最先端の技術を修得する知識も気概もないので、とりあえず働いた。
片道一時間半、満員電車に揺られて、安月給を得るためにその職務を果たすことができない身体になったのが、入社八年目のこと、ただそれだけだった。

ひとつは、ーーこれが最も問題なのだが、自分の現状を大して悲観していないことだ。
その相続対策で何も感じないスタンスを自覚すると、おおよそ社会的生物の片鱗も見いだせず、落胆する。